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課題解決に必要な能力。
職場の課題解決について書いてきた。そもそも職場の「課題を解決する能力」は、管理者に必須の能力だ。その能力を活用して管理者は「職場」の課題を解決する。
「そもそも、管理者に必須な能力」という意味は、管理者の能力評価の要素に、課題や問題に関する対応能力が規定されているからだ。
ほとんどの人事評価制度の管理職の評価要素には、類似した評価要素が含まれている。複数の会社で働いた経験がある人は、類似した評価要素でも使う語句や定義が若干、違うことはご存じだろう。
日本の会社の人事評価制度の基本構成は、ほとんど一緒だ。職能等級制度をベースに、成績・能力・勤務態度(情意)で社員を評価する。
しかし、競争力の高い企業を目指すには、優秀な社員の採用、モチベーションの向上、人材育成、魅力的な処遇を実現するために「特長のある人事評価制度」の設計と運用が必要だ。
既に「各社横並び」の時代ではないし、経営戦略と人事戦略はリンク(直結)するものなので、経営戦略が他社と違うように、望む人材(評価基準)が違うのも当然だ。
結局、企業間の業績差は、人の差といわれている。人と能力は人的資源の観点ではほとんど同義だ。つまり、能力の高い人材を多く持っている企業が競争に勝ち、収益を上げる。
「課題解決能力」は、次のように規定されていることが多い。(自社の評価制度を確認してみよう。)
まず、「職能・等級別能力要件書」を確認しよう。業務別や等級・資格別に求められる能力が一覧になっているはずだ。業務別では、その業務に必要な具体的な能力が、等級・資格別では、監督職以上で規定されていることが多い。
課題を解決する能力は、習熟が必要とする能力なので上位等級者や管理監督職に求められる役割として規定される。
したがって、「職場の課題解決」は、その能力の発揮を規定されている管理者がおこなって当然なのだ。「職場の課題解決」は、管理者にとって能力評価の評定を上げるチャンスだ。
さて、「課題解決能力」の一般的な要素定義は、以下のとおりである。
「情報を収集して関連付けたり、分類、整理、統合して課題達成の方法を考案したり、また問題の本質・原因を究明し、解決を図る能力」
繰り返しだが、語句や文言、定義の内容、表現は、制度によって違うので、自社の制度で確認してほしい。更に「能力要件書」には、着眼点など具体的な状況や行動が書かれているので参考になる。
「課題解決能力」を更に要素分けして設定している場合もある。「課題を見つけて、解決策つくる」ために、「理解力」「判断力」「決断力」「創意工夫力」「企画力」「開発力」を設定する。
それぞれの能力が課題解決に必要な能力であることが分かる。これらの詳細な要素は、「習熟能力」で、管理監督職だけでなく下位者にもその習熟度のレベルに合わせて表現を変えて、能力評価に活用する。
そうすれば、昇級ごとに各能力を向上させ、「課題解決能力」の全体を習得するので、管理者に至っては職場の課題解決を実践することができるようになる。
人事評価制度を知れば、会社が求めている人材や評価基準を予め知ることができる。評価基準を意識して働き、評価されれば昇級、昇進とともに段階的に能力を身につけることができる。
管理者に登用される頃には、「職場の課題解決」の能力が身についているはずだ。
《以上》
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課題解決の二つのアプローチ。
職場の課題解決には、「ハード・アプローチ」と「ソフト・アプローチ」がある。
「ハード」とは、職場の制度や仕組みのことで、「計画」「方針」「役割」「業務分担」「ルール」「手順」「手続き」などによる解決。
「ソフト・アプローチ」とは、人に対する対処で、コミュニケーション、動機付け、能力開発などによる解決。
実績が上がる職場にしたい。「ハード」を変えた方が効果があるのか、「ソフト」にアプローチすることが有効なのか。それは、職場診断によって判断する。
「ハード」も「ソフト」も、生産性を高めて実績が上がりやすい職場にするアプローチである。
よい計画を立てて、方針をつくり、効率的な作業手順を決めれば、仕事がしやすくなり、ミスが減り生産性が高まる。
コミュニケーションを増やし、情報を共有し、能力開発をして、協力すれば、モチベーションが上がり、生産性が高まる。
管理者の課題解決力を高めるためには、職場診断と二つのアプローチを実践する力が必要だ。しかし、前にも書いたように偏りがある管理者は多い。
「ハード」が得意な管理者、「ソフト」が大事と考えている管理者。どちらも十分ではない。「両方見れるし、両方できる。」バランスのよい管理者が今日的であるし、成功する管理者だ。(それだけ、今日の職場の課題は複雑で多岐にわたっている。)
どちらかと言うと「ハード・アプローチ」が有効な職場は、「生産部門」や「事務部門」。仕組みで人を統制して成果を上げる。
どちらかと言うと「ソフト・アプローチ」が有効な職場は、「企画部門」や「営業部門」。情報の共有による創造性や学習によってモチベーションを高め、成果を上げる。
働く人は、業界、会社、部門、職種によって、仕事における考え方や言動を身につけていく。自分が「常識」と思っていたことが、他では「非常識」であることが少なくない。
バランス感覚と柔軟性を養うためには、意識して異業種の人たちと交際することが有効だ。あなたのキャリアを豊かにするために。
《以上》
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職場の課題解決が苦手な管理者。
職場の実績が出ない原因の多くは、職場運営にある。職場の目標達成は、管理者の責任なので、職場の課題解決も管理者の役割だ。
実績の管理はするが、職場環境を整備することができない。
そのような管理者は、改めて管理者の役割と職場運営の技術を学ぶ必要がある。主な原因には、教育の側面と評価制度の側面にある。
管理者の役割や職場運営は、研修で十分学ぶことができる。「職場の課題解決が苦手」の原因の一つは、本人の職場運営に対する興味、関心が低い点にある。それは、おそらく職場運営を軽視する職場での就労経験が影響している。
そのような職場での就労体験が長いと、「実績」と「職場運営」の関係や職場運営の重要性が、なかなか理解できない。
もう一つの原因は、管理者に登用されるまでの評価の仕組みにある。社員は、評価から学び、言動判断する。評価制度が管理者をつくっている、とも言える。
会社が評価する人材が管理者に登用され、職場に配置される。すなわち、管理者の「実績」と「過程」に関する考え方は、その会社の考え方(価値観)が反映されている。
会社の考え方(価値観)が、具体的な方針となり長期にわたって管理者を通して職場で徹底されると、確固たる「組織文化」となり、職場運営や社員の行動様式に強い影響を与える。
時代の変化に合わせるように、「組織文化」を見直す動きは、活発化している。管理者は、これまで教育され刷り込まれてきた価値観の変更に戸惑いを隠せない。
職場の課題解決の目的は、部下が働きやすく、意欲が向上する職場環境を整備し、実績を出すことにある。そのためには、部下の気持ちを理解することが必須だ。
そういう価値観の人材が、管理者に登用されるかは、評価制度と運用にかかっている。個人の実績を中心に評価し、管理者に登用する仕組みの会社では、部下に対する動機付けや職場のまとめ方、部下の方向づけなどで苦労している管理者が多く見られる。
「部下(他人)の気持ちを理解する」ことは、人に対する興味、関心が基礎となるので、教育で学ぶことはできても、元々関心が低かったり苦手意識のある管理者には難しいテーマだ。
しかし、世に多くの管理者がいるが、完璧な管理者などいない。「職場運営は、苦手だ。」と思いながらも、立場が人を育てるというように、「管理者なんだから、頑張ろう。」と、努力している管理者は多い。
そんな管理者の研修は、講師としてとてもやりがいを感じるものだ。
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職場運営と実績の関係(続き)
職場の運営管理は、管理者の役割だが、「過程」を見れない管理者は多い。「実績」は、職場運営の結果であり定量的に管理できるものが多いので、見やすい。
実績は、「売上」「獲得数」「案件数」「数量」「処理数」「納期」「不良率」「回転率」などであり、目標を設定されるものが多い。実績は、記録されるので過去との比較で変化率や傾向を知ることもできる。
つまり、「実績」は目標設定の指標であり、評価の対象となるので管理者の関心はとても高い。
一方、「過程」は数値化しづらく目標にしにくい。また、「実績」との因果関係がはっきりとしない。そして、管理者が常に「過程」の現場にいるとは限らず、自ら確認することが難しい。
そもそも、「実績」には敏感だが、「過程」に関心が低く、軽視する管理者もいる。「何をしてもいい、結果を出せ!」とか。
しかし、前回書いたように「実績」と「過程」には、因果関係がある。「実績」を上げるには、よい「過程」が必要であることは、すでにわかっている。
第一線で働いている部下は、職場全体の実績についての関心は低いが「過程」については関心が高く、かつ敏感である。
この点において、「管理者」と「第一線の部下」は異なるので、しばしばコミュニケーションを難しくさせる。
管理者は、職場の運営責任者として「職場」について、部下以上の知識をもつべきだし、「実績」と「過程」の「両方を見る目」をもつことが重要だ。
《続く》
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職場運営と実績の関係。
会社組織は、全体目標を達成するために部門や職場の役割を決めて、段階的に目標を設定する。部門や職場は、創意工夫と努力で目標達成を目指す。それが組織運営だ。
職場は、目標達成を目指して実績を上げようとする。その実績と職場の運営には、因果関係がある。職場運営とは、実績が出る過程のことである。
職場運営がよいとよい実績が出る。よい実績が出ると職場運営はよくなる。したがって、実績と職場運営には、「因果関係」がある。
職場運営が原因で実績という結果が出て、実績によって職場運営が変化するという関係だ。つまり、職場運営と実績は、相互に影響を与える関係にある。
言葉を変えれば、実績は分かりやすい「表の顔」で運営は分かりにくい「裏の顔」。職場を理解するためには両方を見る必要がある。
「望ましい職場の要件」は、職場運営の理解に役立つ。5項目が十分なら実績が上がる可能性が高い。不十分なら、実績が上がらない可能性が高い。
しかし、5項目が十分でも実績が上がらない職場もあるし、不十分でも実績が上がる職場がある。理想の職場は、5項目が十分かつ実績が上がっている職場だ。つまり、過程がよくて結果がよい職場だ。
5項目が十分でも実績が上がらない職場は、詳細な調査によって真の原因を見つける必要がある。または、診断が甘いとも考えられる。
不十分でも実績が上がる場合は、職場運営とは別に実績が上がる理由がある可能性が高い。しかし、この状態は長く続かない。特別な理由がなくなれば、実績は下がっていく。
最悪の職場は、5項目が不十分で実績が上がらない職場である。職場運営が悪いから実績が上がらない。実績が上がらないから職場運営が更に悪くなる。マイナスのスパイラルだ。
どちらにしても、この職場は直ぐに対策を講じなければ、時間ばかりが経過して期末を迎えてしまう。
《続く》
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