コミュニケーションの概念は抽象的で、その対象やスキルの範囲は広い。実践力を高めるために様々なプログラムを設計し、体系化した研修を計画的に実施することが必要だ。
階層別で分けるなら、難易度を考慮する必要がある。特にキャリアの初期段階にある若手社員の場合は、比較的難易度の低い対象に対するコミュニケーションから順次学ぶ。
同年配とのコミュニケーションが最も身近で難易度が低いと言える。いわゆる同期入社とのコミュニケーションを新入社員研修プログラムで体験的に学ぶ。
次は、先輩、上司を対象として、組織上の立場や役割を理解したコミュニケーションを階層別研修プログラムで学ぶ。
更に上位の階層別研修プログラムで、外部の顧客とのコミュニケーションを学ぶ。
実務では入社と同時に、同期、上司、顧客とのコミュニケーションを体験するが、総論を新入社員研修で学び、対象別の各論を順次体系化し実施することが望ましく、教育効果も高い。
順番は、近い対象から遠い対象へ、易しい状況から難しい状況(許される状況から許されない状況)へと難易度を上げながら段階的に習得する研修体系をつくる。
一般的に内部のコミュニケーションは、新卒採用に対して仲間意識と先輩が後輩を育てる文化が残っているため、概ね易しく対応される場合が多い。一方、キャリア採用は経験や実績があり即戦力が期待され、やや距離を置いたコミュニケーションとなる傾向がある。
また、外部者は取引先(供給者)と顧客によってコミュニケーションの性質が異なる。取引先は、その力関係から迎合してくる場合もあり、顧客からは、厳しく要求される場合もある。従って、立場や状況によってコミュニケーションは全く違う。当然、能力開発のプログラムは違う。
≪続く≫