マニュアルの目指すところは、一定の基準だ。マニュアルには基準が示されており、その基準を満たす道のりが書かれている。したがって、マニュアルのねらいは、現状を一定の基準に到達させることにある。
機械は、正常に動く状態が基準であり、業務を期限内に正しく終えることも基準であり、会議は終了時間内に結論が出ることも基準である。人材の資格・等級要件も基準である。
実際には、基準を満たしていないことが多い。成果にバラつきがあり、期限を守れず、人材が育っていないのが現状である。これは、問題である。
組織は多くの人が集まって仕事をしているので、業務の品質を高めて、一定の基準を満たすために、業務を標準化した方が効率が高まる。(基準以上の成果を上げる方法は、また別である。)
マニュアルは、調査を基に制作する。調査をすれば基準を満たしている状態と満たしていない状態のデータを取ることができる。違いが判れば違いを埋める方法がわかる。
高業績者を調べれば、高業績者のレベルを基準として、多くの者のレベルを引き上げることができる。物事の違いは、結果を調べれば判断できるが、その過程はなかなか分からない。
過程は暗黙知が多いので、“見える化”が必要だ。これまでわからなかったことを、誰もがわかる形にしたものが、マニュアルだ。