(2)支店における不適切な融資
①副支店長が営業成績を上げるために支店長を欺き、不適切な融資を多数実行させ、多額の損失を発生させた。
②支店長は、融資先を十分に確認せずに融資実行を決裁した。
③同支店の他の職員は不審な状況を看過していた。
④副支店長は、過去在籍した別の複数支店においても同様の不適切な融資を実行し
損失を発生させていた。
≪Point≫
上記要約から、本件のポイントは2点ある。支店内で発生した不正であること、事故者(副支店長)は、複数支店で同様の不正を行っていたこと。
・店長には、業務と部下を管理して支店目標を達成する責任がある。支店内で不正が発生した。ということは、管理が不十分であったといえる。店長の管理能力が不十分ならば、支店で不正が発生するのではないか。
・事故者は営業成績を上げるために不正をした。ということは、営業成績を上げている(上げようとしている)職員は不正をするのではないか。
・他の職員が不正を看過していた。すると、不正の発覚は遅れるので不適切な融資が多数実行され、多額の損失が出る。不正を看過していた理由は不明だが、支店の職員であるので店長の部下指導が不十分であったのではないか。ならば、部下指導が不十分なら職員は不正を看過するようになるのではないか。
・事故者は、複数支店で同様の不正をしていた。ということは、本件同様に管理能力の不十分な支店長が複数いるのではないか。ならば、会社は複数の管理能力の不十分な店長を育成・評価し、処遇してきたのではないか。
・本件の原因は、組織文化【遵法意識】【透明性】【内部統制】、経営管理【目標設定】【コミュニケーション】【チームワーク】【部下指導】【ストレス】【コンプライアンス】【評価】、人事施策【目標管理制度】【人事評価制度】【キャリア開発】の健全性要素に関係している。
・支店内の未然防止策は、店長の健全な経営管理が現実的な対策であり業務管理能力とともに、「人間力」が求められる。
・他の職員が不正を看過している、という点も支店の不健全性を表している。健全度調査の「所属別コード」で支店ごとの健全度がわかる。
・あと少しで不正が発生する「限界職場」が、見つかるかも知れない。
≪続く≫