先日、信用金庫の階層別研修を行った時の話です。役割を理解するためにディスカッションを行います。自分の役割を、①制度的役割②期待役割に分けて書き出します。制度的役割は、資格要件や等級基準書、能力要件表、職務規定、人事評価要素などに書かれています。
ほとんどの受講生は、自分の資格等級に設定されている役割を理解していません。(知りません。)または、規定されている役割を、期待役割に書き出していました。期待ならば、“応えられないこともある。まぁ、しょうがないな。”という判断にもなりかねません。
ディスカッションの直後に、自金庫の等級基準書を配布しました。(研修担当者了解の上)受講後のアンケートには、“初めて、見た。”、“やらなけばいけないことが、わかった。”といった感想が多くありました。
言いたいことは、研修の目的のひとつは、組織が規定している能力の開発や基準を満たす手段であるにも関わらず、人事制度とのシナジーがあまりにも少ないということです。階層別研修でも職能別研修でも目的別研修でも一緒です。予め必要とされる要件を規定し、制度として公開することで自己啓発も活発になり、研修とのシナジー効果でキャリア開発の支援をすることもできます。
人事制度の規定が、現実と遊離していて、研修で使えないのなら改定すべきです。目標管理研修や人事評価研修は、制度運用研修なので制度との結びつきが比較的強い研修です。納得感の高い研修を実施しようとすれば、制度の規定を上手に活用すべきです。
弊社では、METSモデルを示して、教育(E)と制度(S)のシナジー効果を活用すべきと、主張しています。研修担当者と人事制度担当者が、分かれている組織は、なかなかシナジー効果が生まれません。それぞれの領域に触れたがらないのかも知れません。制度は、制度。研修は、研修では、それぞれの要素が活かされません。
“研修に出てこない。”、“研修に集中しない、と嘆く研修担当者がいます。”受講生にしてみれば、“なぜ、自分たちは、この研修を受ける必要があるのか?”納得したいのでは、ないでしょうか。
講師、受講生、担当者の三者が納得している研修は、必ずうまくいくものです。