人は長いキャリアを通して、何を、どこまで得ることができるのか。
定年延長と再雇用の時代を迎え、中高年者が注目されている。キャリアの最終章をどのように過ごすか。また会社は、何をすべきか。
誰もがいずれ直面する話だ。会社で働く以上は、役割や業務があり、その結果に対して処遇される。現状では、同じ仕事で給料減。これまでのキャリアを活かせない業務で、モチベーション低下。ネガティブな話ばかりだ。
会社と本人の準備不足が原因だ。中高年の強みの一つは、経験だ。その経験を社会や会社に役立たせることが大きな役割だ。
あなたは、キャリアを通して何を身につけたのか。それを人に伝える準備ができているか。誰もが、何かを伝えられるはずだ。「上手な教え方」なんて大した問題ではない。
「何を」経験し、「何を」伝えられるか、が問題だ。キャリアの最終章を意識したら、準備しよう。時間を掛けてキャリアの棚卸しをして、自分が“本当に思うこと”を見つけることが大事だ。誰にだって、必ずある。
新たな投資の必要もない。最終章は、これまでの自己投資を回収する段階だ。
自分が“本当に思うこと”には説得力がある。経験の裏付けは、自分のキャリアを肯定的に見ることができる。職業人生には普遍的なテーマも多い。未経験者のニーズは様々だ。必ず必要とする人がいる。
最新の知識や技術よりも役に立つことがある。それは、生きていく上での“知恵”だ。成功も失敗も、未経験者には全て大事な情報だ。
人に何を伝えるか、考えながら仕事をすることで意識が変わり、使命感も芽生える。多くのビジネスパーソンが先輩から学ぶことで成長してきた。キャリアの最終章でその学びを社会や会社、後輩に還元することで、より成熟した社会になるのではないか。