不祥事件が発覚すると、事業計画にない様々なコストが優先されることは、前回説明した。未然防止の対策がなければ、いずれ現実となる。
未然防止策には、次のような取り組みとコストの使い方が効果的だ。
・組織運営の健全度調査費用
・必要最小限の研修費用
・働きやすい制度づくり
・管理部門増員分の人件費
健全度調査は、3年から5年程度を目安に組織の健康診断として定期的に実施する。現状の健全度が把握できるし、具体的な未然防止策が立てられる。回数を重ねれば健全度の変化率や経営の健全度(実績)との因果関係もわかる。
組織運営の技術も向上し、不正の抑止効果にもなる。
必要最小限の研修とは、階層別研修である。昨今は、業務研修や資格取得研修を重視し予算を割り当てる傾向があるが、本来業務は現場で習得すべきであり、資格は自分の能力と時間を活用して取得するものだ。
社員は、年齢を重ね、成長し、より責任ある立場で働き、収入を増やすことがキャリア開発の基本である。そして会社は優秀なリーダー、管理者を必要としている。
担当業務ができる人材と組織運営の責任者の要件は同一ではない。組織の健全な発展のためには、階層・等級ごとに人材を育成していく体系と研修を優先させる。
働きやすい制度づくりを進めるためには、管理部門の増員も必要だ。現在の管理業務のままなら、むしろ人員の縮小が必要かも知れないが、管理部門が組織の健全化や改革を使命とするなら増員が必要だ。