人のために働く気があるか?

 企業人の育成を仕事にしている。会社で活躍する人材を育成している。企業人教育だ。METS-cの人材育成方法は、育成コンセプトをつくったり、育成の仕組みをつくったり、教材を開発したり、研修をすることだ。

 会社で活躍するには、担当業務ができることが重要だが、組織人として生きていく考え方と行動を身に付けることも重要だ。

 その知識も技術も組織にいてこそ活かせるものだ。独立事業者やフリーランスで働いている人には、企業人教育は必要ない。

 会社に入って働くことは、自分の仕事をすることだと思っている正社員は多い。半分正解なので50点だ。合格点ではない。仕事は、業務遂行の役割だ。もう一つは、周囲の期待に応えて行動する役割だ。

 組織活動は、上司の指示命令で動く業務遂行の役割と、状況に応じて判断し、人のために働く期待役割の2つで成り立っている。

 サードとショートの守備範囲は、明確に線を引けるものではない。お互い目配り気配りしながら、組織としてエラーをしないように協力しなければならない。

 期待役割を学んでいない社員は、正社員でありながら“自分の利益中心”で、余計なことを避けたがる。まるで、人のために仕事をすることを、“損”と考えているようだ。(成果主義の弊害で、人のために働く社員を評価しない会社は、制度の改訂をすべきだ。)

 このような正社員が増えると、組織は硬直化しエラーが増え問題を押し付け、衰退する。正社員は基本的な権利が保障されている。そして、中長期の人材育成を目的とした教育投資も行われている。将来、会社を託す人材と認めているのだ。その自覚はあるのか。

 業務だけを担うなら“被正規雇用者”なのだ。企業人教育のコストも掛けないし、担当業務以外は期待されていないし、やらなくていい。その分、給料も安いし雇用は期間限定だ。(そういう契約なのだ。)当然、企業人としての能力は開発されない。なぜ、“被正規雇用者”のモチベーションは低く、不満は多いのか、考えてほしい。

 正社員であるあなたは、人のために働いているか。自分のキャリアは、自分で選んでいる。

 

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