再雇用者活用の前提は、「みんな同じではない」ということだ。年齢は同じかもしれないが、再雇用者の状況はさまざまだ。キャリア、能力、意欲、希望、健康状態、財政状況、家族状況などは人によって違う。
従って、会社は人事施策を複数準備し、本人が選択できることが望ましい。
その一つが「マイスター制度」だ。マイスターとは、「親方・名人」のことだが、経験豊富な再雇用者こそマイスターにふさわしい。これまで身につけてきた知識や経験を、後進に伝えることが役割だ。
“自分に何が教えられるのか?”と思う人もいる。しかし、40年近く働いてきた人が、“何も伝えることがない”、ということはない。再雇用者の経験は、未経験者にとって大きな価値がある。(本人が気づいていないだけだ。)
もちろん、冒頭に書いたように本人の状況はさまざまなので、制度をよく説明し、本人が希望する場合に運用する。希望しない人もいるだろうが、全ての再雇用者を満足させる唯一の制度はない。
「マイスター制度」は、自分が努力して身につけてきた知識や経験を後進に伝える役割なので、前向きで刺激的で、プライドを保て、感謝されるので活き活きと働ける。この制度のメリットは多くの課題を解決する。
マイスターは、インストラクターとして会社の人材育成に貢献し、「社員教育」の一端を担う。内省化によって教育コストを下げることができて、脆弱なOJTを補完する。
この再雇用者と社員と会社にとってメリットの多い「マイスター制度」とは・・・
≪続く≫