格差社会と言われて久しい。重要な格差が所得差であるなら、働き方の違いが格差の要因だ。正規社員と非正規社員の違いは大きい。働き方の多様化で非正規社員を自ら選択することもできる。
しかし、非正規社員に不満をもち正規社員を望む人も多い。正規社員で働くためには採用基準を満たすこととと、正規社員として雇用され続ける能力が必要だ。
そもそも正規社員として採用されるにも面接者を納得させるだけの能力が必要だ。つまり、格差の根本には、個人がもつ能力の有無がある。
能力は、本人が置かれた環境や教育が影響している。よい教育を受けることによって能力が開発され、その結果、選択枝が増え自己実現の可能性を高める。それは、家庭教育にも学校教育にも企業人教育にも言える。
非正規社員の研修は、期間限定の担当業務の習得が目的で、企業人教育とは根本的に違う。企業人教育は長く会社に貢献し、幹部候補生(事業責任者)の育成を前提にしている。
新卒で企業人教育の基礎を学ぶ経験は、本人のキャリア形成においてとても重要だ。また会社側にとっても大きな利点がある。円滑で健全な組織運営によって事業を継続させるには、企業人の集団をつくらなければならない。
企業人教育の効果が最も見込め、歩留まりがよい人材は、新入社員だ。
企業人教育をコストと考え、業務教育を優先するか、人材投資と考えるかは、経営者の価値観と人事部門の方針で決まっている。
新入社員研修では、「今、企業人教育を受けることができること」がどれだけ恵まれているか、伝えている。教育格差はますます拡がる。≪続く≫