前回の「研修プログラムの選び方」は、閲覧数が増えました。興味のあるテーマだったようです。社員研修業界は、今や多くの事業者がおり一般的に知られていますが、よくわからないことも多いのではないでしょうか。
「研修プログラム」については、また別の機会に書きたいと思いますが、今回は、研修講師について書きます。
研修業界の裏話のようですが、研修担当者や研修会社の若手営業の皆さんには参考になるかも知れません。
注意点を予め申し上げておきます。研修は幅広く奥深いものなので、私が全てを理解して書いているわけではありません。
ブログの内容は、あくまでも私個人の経験や見聞きしてきたうえでの考えと意見です。もちろん、文責は私にありますので異論や抗議は受け付けますし、誠実に対応します。自戒の念を込めて書きます。
私は、人材育成に約30年関わり、独立して20年のキャリアの研修講師です。閲覧者の皆さんは、講師以外の方々がほとんどでしょう。
仮にあなたが研修担当者で講師を選ぶ立場だとしたら、次のことに注意しましょう。
ブログの流れで「管理者対象、課題解決研修」の講師を選ぶとします。研修会社の「パッケージ・プログラム」なら、派遣される講師のプロフィールを事前に確認するぐらいでしょう。
「パッケージ・プログラム」を依頼する場合、プロフィールの内容はほとんど意味はありません。講師は、担当する研修の訓練を受けているので学歴や職歴、性別などで差が出ることは、ほとんどありません。
むしろ、講師経験が重要です。高学歴、有名企業の職歴は、研修講師の力量とは関係ありません。むしろ、担当する研修の実施回数が多く、プログラムに慣れていることが重要です。
営業担当者が信頼できる人物なら、営業担当者が勧める講師を採用することもよいでしょう。人気のある講師は多忙なので、そのような講師をアテンドできる営業は優秀と言えます。
マニュアル化されているとはいえ、研修は生き物なので、その時々で変わるものですし、やはり状況対応も必要です。経験豊富な講師が安心です。
「カスタマイズ・プログラム」の講師は、もう少し慎重さが必要です。自社が望む研修を依頼する場合は、成功すれば現場の課題解決が推進されます。
「あの研修は、意味がなかった。ムダだった。役に立たない。」という声があがるならば失敗です。担当者の評価も下がります。より、シビアな研修と言えます。
したがって、企画提案と打合せが重要です。事前にプロフィールを手に入れたら職歴と実績に「自社または業界」とご縁がある講師か確認しましょう。
必ずしも、業界出身、全く同じケースの実績が不可欠というわけではありませんが、土地勘があるだけでも研修のクオリティは全く違います。しかし、実際に好条件の講師を見つけることは難しいことです。
むしろ、カスタマイズされた研修プログラムと講師の取組み姿勢がポイントです。研修プログラムは、紙に書いたものなので説明を聞かないとよくわかりません。
担当者としては、研修内容をよく理解するために、次の二種類の質問をしましょう。「なぜ?」と「どうなる?」の二つです。
「なぜ、その講義をするんですか?」「この実習は、なぜ必要なのですか?」「この演習をやると受講生は、どうなるんですか?」「研修の結果は、どうなるのですか?」「なぜ、そう言えるのでか?」
それらが、受講生の課題解決に役立つ内容であれば納得して依頼しましょう。企画提案や打合せでは、講師の対応や態度をよく観察しましょう。
誠実かつ丁寧に自信をもって答えてくれれば、よい講師です。詳細な説明ができない講師は、自分でプログラムを書いていません。プログラムの表面をなぞっただけの研修進行をしてるのでしょう。
講師のなかには、担当者が質問をすると怒り出す講師がいるかも知れません。しかし、顧客が、お金を払う商品について知ることは当然のことです。
講師は、「黙って、任せとけ!」と言いたいのかも知れませんが、そんな講師優位の時代ではありません。自分がうまく説明できないから怒り出して、質問させないようにするのです。
もちろん、そんな講師はNGです。講師がベテランだったとしても、遠慮せずに質問しましょう。
さて、大事なことは貴社の社員を育成するために限られた予算で研修を実施するのですから、講師やプログラムに興味をもって納得した上で依頼することです。
よい研修には、受講生満足、担当者満足、講師満足の3つが必要です。
《続く》次回は、研修講師のモチベーションとオーナーシップについて。
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