第三のキャリア選択の要因【労働環境】(1)

 キャリア選択の要因は、主に三つ。

 「仕事」「人間関係」「労働環境」。これまで、このブログで「仕事」「人間関係」について書いてきた。

 第三の要因である「労働環境」もキャリア選択において重要である。最近の若手社員の研修では、「雇用の安定」と「居住の安定」、「奉仕と献身」のデータが高い。(研修で活用している、キャリアに関するアンケート調査票の結果より)

 地元や住み慣れた町で、人に感謝される仕事を続けたい、といった価値観が強い。若手社員は、そんな価値観に合った会社や仕事を望んでいる。(と、いうことは、そんな欲求を満たす会社は、人材が集まりやすい。)

 「労働環境」と「労働条件」は、似ているが意味合いは随分違う。「労働条件」を重視するなら、企業研究をしたり労働契約内容を事前に調べて、自分の価値観にあった会社を選べばよい。

 (労働契約の内容は、労働者を採用する際に明示するよう『労働基準法(第15条第1項)』で定められている。)

 就職後に契約内容と違っていたら、会社側の契約違反となり会社側の責任が問われる。問題は、「労働環境」だ。

 「労働環境」は、「労働条件」より広い範囲を意味している。「労働環境」は、職場に配属され働いてみないとわからない。

 労働契約通りだったとしても実際は「残業が多い」「有休が取りづらい」「賃金が思ったほど上がらない」「転勤を命じられる」など、不満を感じることがある。

 指示される業務も上司との人間関係も、労働者からすればすべて「労働環境」である。

 言いたいことは、「労働契約」といった規則は守られても「労働環境」は運用の実態なので、よい場合も悪い場合もあり確定できるものではない。

 「労働環境」は、労働者の転職要因ともなる重要事項であるが、人によって感じ方が違う。同じ労働環境でも、「すごく嫌だ」と感じる人もいるし、「居心地がよい」と感じる人もいる。

 労働環境は、制度や規程のように、正しい、正しくない、判例によれば合法、違法など明確な判断がしにくい。常識的な判断や働いている人の意識、その時の職場の状況によって判断され、成立するものだ。

 その労働環境に大きな影響を与える要因は、「管理者のマネジメント」である。会社が労働者と約束した「労働契約」の順守を前提とした社員の活用と職場環境は、管理者の労務管理に委ねられている。(すなわち、制度運用の責任者は、職場の管理者ということだ。)

 管理者のマネジメントは、職場全体だけでなくあなた個人にも強く影響を与える。「労働条件」は、実際には上司の判断によって運用されているからだ。上司による部下管理は、部下個々人によって異なることが、普通だ。

 あなたが、快適な労働環境で働き続けたいのなら、自ら「快適な労働環境をつくる(守る)」努力をすることをお勧めする。その技術を身につけることによって、どのような会社でも、どのような上司にでも適応し、快適に仕事を続けることができる。

(あなたが、会社から快適な労働環境を保障されている人物なら、特別な取組みや努力も必要ない。) 

《続く》

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