組織が変わる時~電通事件~

 電通事件は、1991年8月27日に電通の新入社員が過労自殺した事件だ。この社員の長時間労働について使用者である電通に安全配慮義務違反が認定された。

 電通事件は、労働基準法違反であるとともに、これからの「働き方」、メンタルヘルスやパワーハラスメント、過重労働、組織文化などの観点から多くの関心を集めた。

 そして「鬼十則」は、社員手帳から消えるようだ。

 「鬼十則」は、社員の行動規範なので正に「組織文化」の象徴だ。これまでの電通の「組織文化」や「経営管理」に大きな影響を与えたはずだ。

 その結果、今日の業績やブランド、社会的な評価を得てきた。

 今回の事件によって「鬼十則」を公に目にすることはなくなるだろう。社会の論調は、まるで「鬼十則」が今回の事件を招いたと言わんばかりだ。

 本当にそうだろうか。電通事件の本質的な原因は「経営管理」だ。「鬼十則」の本質の理解と健全な経営管理によって不祥事は未然に防げたはずだ。

 「組織文化」の象徴を取り下げることによって反省と改革の姿勢を示した格好だが、新しい象徴を創り、健全な「組織文化」を醸成することは簡単ではない。

 「組織が変わる」最大の要因は、社会からのプレッシャーだ。残念なことに企業は、不祥事を起こさなければ本気で改革を始めない。

カテゴリー: お知らせ   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください