(3)本部の牽制機能の欠如
①監査部は事務面の監査しか行っておらず不正行為が繰り返されていることを発見でき て いない。
②融資部、営業統括部のモニタリングは支店の不正行為が繰り返されていることを発見できていない。
≪Point≫
・以上の要約から本件のポイントは、本部三部門の役割とその責任にある。
・組織は、業務効率を高めるために部門を分けて責任をもって業務遂行するとともに、他部門と連携・調整して組織全体の目標達成を目指す。
・三部門は、業務会計監査・融資審査・営業統括を通して支店の不正行為を発見できる立場にあったができていないので、部門の役割を果たしていない。
・「支店の職員は不審な状況を看過していた。」にもかかわらずモニタリングで発見できなかった。
・不正は、2017年末からの金融庁立ち入り検査で発見された。(2018.7.13日経新聞) ということは、三部門は少なくとも数年間、他の支店でも不正を発見できないまま業務を継続している。業務が改善されていないと推測される。
・部門の役割が果たされていないということは、部門管理が不十分であり、その責任は部門長にある。部門長の管理能力が不十分ならば支店の不正は発見できない、のではないか。
・本件の原因は、組織文化【透明性】【内部統制】【改革性】、経営管理【役割分担】【目標設定】【コミュニケーション】【チームワーク】【支援・協力】【部下指導】【業務への関心】【活力・生きがい】【コンプライアンス】【評価】【改善】、人事施策【目標管理制度】【人事評価制度】【キャリア開発】の健全性要素に関係している。
・本部の牽制機能には、部門長の管理能力に加えて本部職員には事務的な面だけを見て業務を進めるのではなく、支店の雰囲気や職員を見て感じる「人間力」の向上が必要だ。
・三部門の健全性は、健全度調査の「所属別コード」データで把握できる。職場改善活動で部門を健全化することで、本来の監査・融資審査・統括を行い不正の未然防止、早期発見することができる。
≪続く≫